化粧品製造販売業許可とは|製造業許可との違い・責任者の要件・製造販売届

1.このページの目的

化粧品を自社ブランドで売りたい、海外の化粧品を輸入したい——このとき最初に必要になるのが化粧品製造販売業許可です。

ところが「製造販売業」という名前が実態と合っておらず、混乱のもとになっています。この許可は製造するための許可ではありません。製品を市場に出す責任を負う立場になるための許可です。自社で作らず、OEMに任せて売るだけの事業者も、この許可が必要です。

このページでは、化粧品を販売するために必要な許可と届出、置かなければならない責任者、成分と表示のルールまで、根拠条文を示しながら整理します。

2.化粧品に必要な2つの許可

薬機法は「製造販売業」と「製造業」を別の許可として組み立てています。名前が似ていますが、まったく別物です。

化粧品製造販売業許可化粧品製造業許可
できること製品を市場に出荷する製造(包装・表示・保管を含む)
できないこと製造はできない市場に出荷できない
根拠薬機法第12条第1項薬機法第13条第1項
単位事業者ごと製造所ごと
申請先総括製造販売責任者がその業務を行う事務所の所在地の都道府県製造所の所在地の都道府県
有効期間5年5年

有効期間は施行令第3条・第10条でそれぞれ5年と定められています。条文上の許可権者は厚生労働大臣ですが、化粧品については施行令第80条第2項により都道府県知事が事務を行います。

実務で注意したいのが申請先が2つに分かれる点です。製造販売業は総括製造販売責任者が勤務する事務所の所在地、製造業は製造所の所在地。本社と工場が別の都道府県にあれば、窓口も別になります。

許可の基準

製造販売業許可を受けるには、品質管理の方法(GQP省令)製造販売後安全管理の方法(GVP省令)が基準に適合している必要があります。(薬機法第12条の2第1項)加えて、許可の取消しから3年を経過していない、拘禁刑以上の刑に処せられてから3年を経過していないなどの欠格事由があります。(薬機法第5条第3号を準用)

3.化粧品製造業許可の2つの区分

製造業許可は、行う工程に応じて2つの区分に分かれます。(薬機法施行規則第25条第3項)

省令の文言実務での通称
第1号化粧品の製造工程の全部又は一部を行うもの(次号に掲げるものを除く。)一般
第2号化粧品の製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの包装・表示・保管

*「一般」「包装・表示・保管」は省令上の用語ではなく、実務で使われる通称です。申請書では省令の区分で記載します。

ここで最も見落とされやすいのが第2号です。「保管」だけでも製造行為にあたります。東京都は「輸入した化粧品を保管する場合のみでも化粧品製造業の許可が必要です」と明示しています。中身を一切いじらず、倉庫に置いてラベルを貼るだけでも、製造業許可の対象です。

なお、区分を後から変更・追加する場合は、あらためて許可が必要です。(薬機法第13条第8項)

4.置かなければならない責任者

化粧品でも、医療機器と同じように責任者の確保が必要です。ただし要件は化粧品のほうがかなり緩やかです。

責任者どの許可で必要か根拠
総括製造販売責任者製造販売業薬機法第17条第1項/施行規則第85条の2第2項
品質保証責任者製造販売業GQP省令第17条
安全管理責任者製造販売業GVP省令第15条(第13条第2項を準用)
責任技術者製造業薬機法第17条第10項/施行規則第91条第2項

(1)総括製造販売責任者

医薬品と違い、化粧品では薬剤師である必要はありません。次のいずれかに該当すれば足ります。(施行規則第85条の2第2項)

  • 薬剤師
  • 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
  • 同じ学校で薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品・医薬部外品・化粧品の品質管理又は製造販売後安全管理の業務に3年以上従事した者
  • 厚生労働大臣が同等以上の知識経験を有すると認めた者

条番号に注意が必要です。施行規則第85条は医薬品、第85条の2第1項は医薬部外品、化粧品は第85条の2第2項です。ここを取り違えている解説をよく見かけます。

医薬部外品との差もはっきりしています。医薬部外品は「大学等で薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者」が求められますが、化粧品は「旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上」で足ります。高校の化学系学科を出ていれば、それだけで要件を満たし得るということです。

(2)品質保証責任者・安全管理責任者

この2つには学歴要件も実務経験年数の要件もありません。求められるのは次の2点です。

  • 業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力を有すること
  • 販売に係る部門に属する者でないことその他、業務の遂行に支障を及ぼすおそれがない者であること

後者は組織設計の話です。営業部門の人を品質保証責任者にすることはできません。小さな会社ほど、ここは意識して部門を分けておく必要があります。

(3)責任技術者(製造業)

製造業者は、製造を実地に管理させるため製造所ごとに責任技術者を置きます。(薬機法第17条第10項)要件は総括とほぼ同じ構成ですが、3つ目のパターンの実務経験が「製造に関する業務に3年以上」である点が異なります。(施行規則第91条第2項)

(4)兼務はできるか

大阪府は「化粧品製造販売業の場合は、総括製造販売責任者、品質保証責任者、安全管理責任者を1人で兼務することが可能」と説明しています。小規模事業者にとっては重要な点です。

ただしこれは省令に明文があるわけではなく、自治体の運用説明です。兼務しても各役割の責務を果たせることが前提であり、扱いは所管の都道府県によって異なり得ます。体制を決める前に所管窓口へご確認ください。

5.GQP省令とGVP省令

許可要件である2つの省令のうち、化粧品に適用される範囲は限定的です。

省令化粧品に適用される範囲
GQP医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令第3章(第17条〜第20条)
GVP医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令第4章(第15条)=第三種製造販売業者として一部を準用

化粧品はGVP省令上第三種製造販売業者に分類されます。(GVP省令第2条第10項)医薬品用の重い規定は適用されず、第15条により必要な条文だけが準用される構造です。

手順書については扱いが分かれます。GQP省令は第3章の中で品質管理業務手順書の作成を求めていますが、GVP省令第15条の準用範囲には手順書の規定(第5条)が含まれていません。一方で自治体はGVP手順書の整備を求める説明をしています。「法令上必ず必要」と断定はできませんが、実務上は整備しておくべきものとお考えください。所管の都道府県の案内に従うのが確実です。

6.品目ごとの手続きは「届出」

許可を取っただけでは製品を売れません。品目ごとの手続きが別に必要です。医療機器と違い、化粧品は原則として届出です。承認も認証も要りません。

  • 根拠:薬機法第14条の9第1項、施行規則第70条第1項(様式第39)
  • タイミング:あらかじめ、品目ごとに
  • 変更したとき:30日以内に変更届(同条第2項、施行規則第70条第2項、様式第40)

「届出だから簡単」と受け取られがちですが、販売名が問題になることがあります。既存の医薬品・医薬部外品と同一の名称、虚偽・誇大な名称、医薬品的な効能を暗示する名称は使えません。大阪府は「販売名が不適切な場合、再検討が依頼される可能性があるため、資材などの準備については、届出の受理を確認されてから行われることをおすすめします」と案内しています。

容器やパッケージを先に大量発注してしまうのは典型的な失敗です。届出が受理されてから資材を発注してください。

承認が必要になる例外

条文上、例外は存在します。薬機法第14条第1項は「厚生労働大臣の指定する成分を含有する化粧品」を承認の対象としており、第14条の9の届出はそれ以外を対象としています。「化粧品はすべて届出」と言い切れるわけではありません。自社の処方が該当しないかは、届出前に確認が必要です。

7.化粧品基準(成分の規制)

化粧品の成分は化粧品基準(平成12年9月29日 厚生省告示第331号)で規制されています。根拠は薬機法第42条第2項です。

考え方は2種類の組み合わせです。

方式意味対象
ネガティブリスト載っているものは使えない/上限まで配合禁止成分(別表第1)、配合制限成分(別表第2)
ポジティブリスト載っているものだけ使える防腐剤(別表第3)、紫外線吸収剤(別表第4)、タール色素

つまり、防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素は「リストにあるものしか使えない」、それ以外の成分は「リストにあるものが使えない・制限される」という逆の建て付けです。ここを取り違えると処方設計が根本から狂います。

総則には、原料は不純物も含めて「保健衛生上の危険を生じるおそれがある物であってはならない」という一般的な要求も置かれています。リストに載っていなければ何でもよい、ということではありません。

タール色素は別の省令で規定されています。「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」(昭和41年厚生省令第30号)第3条が、化粧品一般に使えるもの、粘膜に使用されることがない化粧品に使えるもの、毛髪の洗浄・着色を目的とする化粧品に使えるものを、それぞれ区別しています。口紅とヘアカラーで使える色素が違うのはこのためです。

8.全成分表示

化粧品は直接の容器又は直接の被包に、次の事項を記載しなければなりません。(薬機法第61条)

  • 製造販売業者の氏名又は名称及び住所
  • 名称
  • 製造番号又は製造記号
  • 厚生労働大臣の指定する成分を含有する場合はその成分の名称(=全成分表示)
  • 厚生労働大臣の指定する化粧品にあっては使用の期限
  • 化粧品基準で容器等に記載するよう定められた事項
  • その他厚生労働省令で定める事項

全成分表示の書き方は「化粧品の全成分表示の表示方法等について」(平成13年3月6日 医薬審発第163号・医薬監麻発第220号)に示されています。実務で効いてくるのは次の点です。

  • 名称は邦文で記載し、日本化粧品工業連合会(現・日本化粧品工業会)作成の成分表示名称リスト等を利用する
  • 分量の多い順に記載する。ただし1%以下の成分と着色剤は順不同でよい
  • キャリーオーバー成分は表示不要
  • 混合原料は、混合されている成分ごとに記載する
  • 抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒・希釈溶媒を分けて記載する
  • 香料は「香料」と記載してよい

OEMで製造する場合、全成分の情報は製造委託先から正確に取得する必要があります。混合原料の内訳やキャリーオーバーの扱いは、原料メーカーまで遡らないと確定しないことがあります。表示は製造販売業者の責任です。

9.海外の化粧品を輸入する場合

輸入して自社ブランドとして販売する場合、必要になるのは次のとおりです。

  • 化粧品製造販売業許可
  • 化粧品製造業許可(包装・表示・保管の区分)──自社で輸入品を保管したり邦文表示を貼付したりする場合
  • 化粧品製造販売届(品目ごと)
  • 化粧品(外国製造販売業者・外国製造業者)届書(様式第115、PMDA経由で厚生労働大臣へ)

4つ目は施行規則第267条(外国製造化粧品の製造販売に係る届出)に基づくもので、品目の製造販売届とは別建てです。見落とされやすい手続きです。

外国製造業者の認定は不要です

医薬品では海外の製造所について認定の制度がありますが、化粧品には適用されません。施行令第76条第1項が、化粧品について薬機法第13条の3(医薬品等外国製造業者の認定)を適用しないと明記しています。代わりに前述の届出で足ります。

医療機器では外国製造業者の登録が承認の要件になるため、化粧品と医療機器では海外側の手続きの重さがまったく違います。両方を扱う事業者は混同しないようご注意ください。

自社で保管しない場合

輸入と保管を、製造業許可を持つ他社に委託する形であれば、自社の製造業許可は不要になり得ます。埼玉県も「他社に輸入・保管委託する場合は製造販売業許可のみ」と説明しています。

ただし委託した場合でも、品質管理の責任は製造販売業者に残ります。GQP省令上、委託先の製造管理を監督する義務があります。「任せたから知らない」は通りません。

通関のとき

製造販売のために化粧品を業として輸入する場合、通関のときまでに、承認またはその申請、あるいは製造販売届が行われていることを証する書類(またはその写し)を有していなければなりません。(施行規則第94条)先に届出を済ませておく必要がある、ということです。

10.「薬用化粧品」は別の制度です

薬用化粧品という言葉は法律上の用語ではありません。実態は医薬部外品です。(薬機法第2条第2項第3号)

化粧品薬用化粧品(医薬部外品)
品目の手続き届出(原則)承認(薬機法第14条第1項)
許可化粧品製造販売業許可医薬部外品製造販売業許可
総括の要件高校等で薬学・化学の課程修了など大学等で薬学・化学の課程修了など
効能効果化粧品の効能の範囲(56項目)内承認された効能効果

薬機法第2条第3項の化粧品の定義には「医薬部外品を除く」というただし書があり、両者は排他関係にあります。医薬部外品に該当すれば化粧品ではありません。

実務上の分かれ目は効能効果です。化粧品として言える効能は「化粧品の効能の範囲の改正について」(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)の別表に列挙された56項目に限られます。「肌を清浄にする」「乾燥による小ジワを目立たなくする」などがこれにあたります。この範囲を超える表現をしたい場合は、医薬部外品としての承認を取るか、表現を変えるかの選択になります。

*効能表現と広告の詳細は「化粧品・美容機器ビジネスの新規参入」でも扱っています。

11.販売開始までの流れ

一般的な進め方です。*自治体により手続きの詳細は異なるため、申請先の都道府県窓口への事前確認をおすすめします。

  1. 製品が化粧品に該当するか、医薬部外品や医療機器にあたらないかを確認する
  2. 自社で製造・保管するのか、OEMや他社委託にするのかを決める(必要な許可が変わります)
  3. 総括製造販売責任者・品質保証責任者・安全管理責任者を確保する
  4. GQP・GVPの体制と手順書を整備する
  5. 化粧品製造販売業許可を申請する(必要なら製造業許可も)
  6. 処方を化粧品基準に照らして確認する
  7. 販売名と効能表現を確定する
  8. 化粧品製造販売届を提出する(輸入なら外国製造業者等の届出も)
  9. 届出の受理を確認してから、容器・パッケージ等の資材を発注する
  10. 全成分表示を含む表示を確定し、製造・出荷する

12.よくある誤解

(1)「自社で作らないから許可は要らない」

誤りです。OEMに製造を委託して自社ブランドで売る場合も、市場に出す責任者として化粧品製造販売業許可が必要です。

(2)「製造販売業許可があれば製造もできる」

誤りです。製造には製造業許可が別に必要です。逆に、製造業許可だけでは市場に出荷できません。

(3)「保管するだけなら許可は不要」

誤りです。「包装、表示又は保管のみを行うもの」が製造業許可の区分として定められています。輸入品を自社倉庫に置くだけでも対象です。

(4)「化粧品は届出だけだから簡単」

品目の手続きが届出であることは事実ですが、その前提として業の許可、責任者の確保、GQP・GVPの体制整備が必要です。届出そのものも、販売名や成分の確認を経て受理されます。

(5)「海外で売られている化粧品だから日本でも売れる」

誤りです。化粧品基準に適合しない成分が配合されていることがあります。特に防腐剤・紫外線吸収剤・タール色素はポジティブリスト方式のため、海外では一般的な成分が日本では使えないケースがあります。処方の確認が輸入検討の最初の関門です。

(6)「薬用と書けば効果を訴求できる」

薬用化粧品は医薬部外品であり、品目ごとの承認が必要です。化粧品として届け出た製品に「薬用」と付けることはできません。

13.ご注意

本ページは公開されている法令・通知および自治体の公表資料に基づいて記載しています。責任者の兼務の可否、輸入時に自社の製造業許可が必要かどうか、販売名や効能表現の適否は、事業形態や個別の事情によって判断が分かれます。体制や処方を確定される前に、所管の都道府県薬務課への事前確認をおすすめします。制度改正により内容が最新でない場合もありますので、一次情報の確認とあわせてご利用ください。

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